「文系力」こそ武器である

「理系になれなかった人=文系」といった認識をもっている文系の人も少なくないと思います。


世の中の文系と言われる人たちのなかで、自分自身のことを「私は文系である」と胸を張って誇れる人はどれくらいいるでしょう。


このIT全盛時代に、理系の人のようにはっきりとした専門分野がなく、そこにアイデンティティをもちにくい文系の人が、自信をもって、これからの流動性の高い社会を生きていくためにはどうしたらいいのでしょうか。


その問いに答えるため、文系人間として磨いていきたい能力について紹介してきます。


ファシリテーション能力

議論を盛り上げたり、活発化した議論をうまく取りまとめていく場面になると、文系の人のほうが力を発揮することが多いです。

商談でも会議でも、人が集まって仕事をする場では常に必要とされる役割です。

様々な分野の専門家が集まる組織のなかで、ファシリテーターとしてコミニュケーションを活性化し、議論を取りまとめ、個人の能力をつないでいく。

これは文系がもっとも力を発揮する場であり、文系人間の生き残り戦略の一つであると言えます。


② 雑談力

雑談力とは人間関係を温めるためのコミニュケーション能力です。

ふだんから何気ないことを話している関係だからこそ、深刻な悩みも打ち明けやすくなりますし、何か問題が起こった場合にもお互い雑談力=人間関係を温めるコミニュケーションが高い人が上に立つ、という文系力の典型だと言えるでしょう。

にフォローし合うことができます。雑談が助け合いの精神を育むのです。

企業の重役を務めるような人のなかには、雑談力が高い場合が多くあります。 

雑談力=人間関係を温めるコミニュケーションが高い人が上に立つ、という文系力の典型だと言えるでしょう。


③ クリエイティブなコミニュケーション力

会話が盛り上がり、発想力が開花され、アイデアが生み出されるようなコミニュケーションのことです。

的確な相づちやコメント、質問をすることで理系の専門家の思考を刺激して新しいアイデアのきっかけになることができます。

つまり、文系の役割は「目の付け所」を提案することです。

これが文系と理系の理想的な関係だと思います。


④ 要約再生力

言われたことがちゃんと理解できているとか、言われたことを正確に要約して再生できるといった能力です。

一般に、文系は活字に強いというイメージがあります。

分厚い資料の束を渡されても大事なところをピックアップして情報を整理し、端的に報告できる。これが文系の言語能力です。


たとえば、新書一冊読むのに三日や四日かかるようだと、「あなた、本当に文系なの?」と言われても仕方ないでしょう。

新書なら一時間で読んで内容を説明できるくらいだと、「さすがは文系」と評価されます。

この基礎力があってはじめて、正確で円滑なコミニュケーションが可能になるのです。

ですから、文系にとって読書は存在価値に関わる重要な訓練です。

読書をしない文系はなんの役に立つのか?

ということになります。

逆に、読書を通じてしっかりと言語能力を養っておけば、特に情報の要約再生力を磨いておけば、チームのなかでさまざまな人がもっている情報の橋渡しができるようになり、組織にとって欠かせない存在になるでしょう。


読書は偉大な他者との対話です。

そこでの深い対話を通して、思考を深め、そこで得た語彙力をもって、人と深い対話をする。

この対話力もまた、文系の人の得意にすべき分野だと思います。

読書を通して、文系人間としてのアイデンティティを確立していきましょう。